慢性前立線炎の鍼灸

慢性前立線炎の鍼灸

慢性前立腺炎(間質性膀胱炎も含む)

慢性前立腺炎は難治性を示す疾患ではありますが、不治の病ではありません。実は私もかつて慢性前立腺炎を患いました(ごあいさつページに詳しくあります)。そしてその克服経験がきっかけとなって、現在このように鍼灸師となり多くの慢性前立腺炎で悩む患者さん方の手助けをさせていただいております。

今このページをご覧になっている方の多くは慢性前立腺炎や間質性膀胱炎と呼ばれる病を患っておられるのではないでしょうか? 耐え難い不快感や痛みを我慢しながらパソコンを前にしておられるのかもしれません。このページはそのような慢性前立腺炎に苦しむ方々の一助になればと願いつつ書かれております。

当院の慢性前立腺炎に対する鍼灸の特徴

  1. お一人ずつ異なる「慢性前立腺炎へ至った本当の原因」と、その「発病までのプロセス」を解明いたします。
    (時系列的にいつの時点から、なぜ、どのように等)
  2. 原因を究明したうえで鍼灸することで再発のリスクを最小限に留めます。
  3. お一人ずつに合わせた慢性前立腺炎を克服するために必要な、運動・食事内容・その他日常生活の中で行うべき「養生法」や「禁忌」を考えてお伝えさせていただきます。

慢性前立腺炎の本当の原因とは

一般的には慢性前立腺炎は原因不明とされているのですが、「 膀胱頚部硬化症、、間質性膀胱炎、 骨盤底筋の過緊張、 骨盤内の血流障害(うっ血)、 骨盤疼痛症候群、 陰部神経症、 冷え、 交感神経の興奮、 心身症 、感染症の後遺症」などが原因や本質ではないかとも言われております。
しかし本当にこれらが慢性前立腺炎の原因であると言えるのでしょうか?

たしかに、これらが元となって骨盤内に血管の収縮を引き起こし代謝産物や発痛物質が蓄積することによって不快感や痛みを発生させているのだ、、、あるいはその慢性的な刺激によって脳が興奮して痛みを増幅しているのだ、、、とするならば考え方としては成り立ちます。

では、そもそもなぜ骨盤内にそのような問題が生じてしまったのでしょうか?骨盤内に問題を生じさせている より根本的な原因が何かあるはずです。その根本的な原因を取り除かない限りこれら骨盤内の問題は解決しないのではないでしょうか。ではその根本的な原因とは何なのでしょうか。

以下、当院で東洋医学的に診立てた患者さんの例です。
例1) 消化器系の問題があり、体内の代謝産物が上手く排泄しきれず過剰となって、体幹の一番底である前立腺・膀胱・骨盤底筋・陰部神経の周辺に蓄積して、悪影響を及ぼす、という経過の方もあれば、
例2) 過労で全身状態が低下して循環も悪くなっているところに、ストレスを受けて交感神経が興奮し血管が収縮することによって、狭くて窮屈な骨盤内・前立腺・膀胱周辺の静脈の滞り(うっ血)を生み、症状を発する、という経過の方もあり、原因・プロセスは十人十色です。

実はこれが慢性前立腺炎(間質性膀胱炎も含む)が原因不明とされている理由なのです。つまり「骨盤内に問題を生じさせている根本的な原因と、そこから慢性前立腺炎に至るまでのプロセスが皆それぞれ違う」ということです。だから発症するきっかけも経過も皆それぞれ違ってくるのです。

この慢性前立腺炎の根本的原因、及びそのプロセスが皆違うという複雑さのために、一般的に慢性前立腺炎は原因不明とされ対症療法しかなされていないのが現状です。つまり「 骨盤内の血流障害(うっ血)・骨盤底筋の過緊張・陰部神経痛・膀胱頚部硬化症・・・」などは原因とは言えないのです。
これらは結果の一つに過ぎなません

慢性前立腺炎という病気は、泌尿器・骨盤内で単独に発生したものではなく、その背後には他の臓器との不協和音があるということですこう言うと「自分は前立腺炎である以外は健康で、検査でも何も問題なかったのに」と考えられる方も多いかと思うのですが、実際にはこの臓腑(東洋医学では臓器のことを臓腑と言います)の不協和音とは、西洋医学で病名が付くほどの病気ではなく、わずかな不調である場合が多いのです。しかし、その小さな不協和音がやがて増幅して前立腺・膀胱の周辺部分に強烈な症状を呈した時に、慢性前立腺炎という病名で呼ばれるようになるのです。

原因の究明方法

では身体の中のどの臓腑に問題があるのでしょうか。それとも臓腑どうしの関係性に問題が生じているのでしょうか。当院ではこれらの不協和音の原因を究明するためには、古典的な東洋医学の智恵を用いるのが最適であると考えております。

古典的な東洋医学とは、症状を発している部位(この場合泌尿器)のみに注目するといったものではなく、その方の全身状態・その他の症状等を全てかき集めて、その相関性を探ることによって最終的に何が原因となったのかを究明するといったものなのです。

そのため初診の際、前立腺炎の症状は勿論、それ以外の症状・状態から発症前の身体の状態・習慣・生活環境・病歴などまで重視いたします。具体的には慢性前立腺炎の方専用の問診表を通して情報を集めてゆき、体表観察で得られた情報と検討・統合することによって、その方が時系列的にいつの時点から、どのようにして病んでゆき、慢性前立腺炎に至ったのか、というプロセスを解明いたします。

それによって、その方の場合「何をすれば良くなり・何をすれば悪くなるのか」をお伝えできるようになります。そしてその症状の今後の予測や、鍼灸での見通しも立てられるようになります。このように東洋医学の智恵を駆使すれば、お一人ずつ異なる慢性前立腺炎の病態を把握し、本当の原因を究明することができるものなのです。

※因みに東洋医学的に考察すると、私のかつての場合でもなぜ慢性前立腺炎になったのか、なぜ手術の効果が短期間しか持たなかったのか等の理由が理解できます。
また慢性前立腺炎の患者さんは痔を併発したり、股間・ソ径部周辺の違和感を併発する人も多いのですが、これについても対応方法が個別に理解できます。

慢性前立腺炎への鍼灸

慢性前立腺炎の患者さんには全員同じ針や灸をするのかというと勿論そうではありません。原因がお一人ずつ違うのに、同じ針や灸を行っても意味がありません。根本的な原因を究明した上で、それに合わせて針や灸を行ってゆきます。

伝統的に前立腺炎のツボといわれているものが、下腹部・骨盤の後面・会陰部・その他足首付近などにあります。これらのツボの中には針で刺すと、仙骨神経の前枝・後枝や、陰部神経などに当たるものもあり、いかにもここに針をするだけで治ってしまいそうです。しかしこれらのツボに針をするのは、あくまで痛み止めのような「症状」に対する対症療法としてなのです。
(これらの神経が痛みや不快感を感受したり不具合を起こすのには原因があるのですが、その原因にではなく結果にアプローチしているに過ぎないのです)

そのような対症療法だけではなかなか治らず、治ったと思ってもよく再発を起こしてしまいます。そのような場合やはり対症療法だけで終わらずに、その「根本的な原因」を突き止めて鍼灸する必要があります。

具体的な針・灸について : 前述の下腹部・骨盤の後面などのツボに反応が出ている方も多く、それらのツボをその反応の出方に合わせて針や灸をしてゆきます。
そして最も重要なことなのですが、それだけで終わってしまうと、特に病(原因)が深刻な方の場合は治りませんし、深刻でない方の場合には、治ったとしても再発の心配が残ってしまいます。なので、問診表・体表観察などから導き出したその方の原因に合わせた鍼灸を行い
身体の中の不協和音を取り除き、しぶとい慢性前立腺炎の根をシラミ潰しにしてゆくのです。

このように古典的な東洋医学によって丁寧に診立てを行い
それに合わせた針や灸をすることによって
はじめて東洋医学(鍼灸)はその実力を発揮し効果が期待できるのであります。

鍼灸をした後には、それによって身体が良い方向に反応したかを確認します。良ければ終了となり、そうで無いようならば、さらに針や灸を加えることになります。

※  ツボとは : 内臓の状態が反射の要領で体表に表れたものでです。そのツボを針や灸することによって、ツボから内臓へ刺激が反射的に伝わり、結果的に内臓の働きを整えられるのです。
また鍼灸の効果の科学的な解明については各国の各研究機関などで進められているところですが、現在では鍼灸刺激が自律神経系・内分泌系・免疫系等に作用して各臓器の働きを調整していると考えられます。

●針・灸の副作用について・・・まれにですが、針による軽い内出血の痕が何日間か現れる場合があります。またお灸の痕が薄茶色にしばらく見える場合もありますが、特に男性の場合は気にする方はまずほどんどおられない程度の痕です。

慢性前立腺炎のFAQ
不妊症・不育症・男性不妊症の鍼灸
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